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広島地方裁判所 昭和41年(行ウ)23号 判決 1967年6月14日

原告 脇谷敬一 外一名

被告 広島県知事

訴訟代理人 村重慶一 外四名

主文

原告らの本件訴を却下する。

訴訟費用は原告らの負担とする。

事  実 <省略>

理由

一、被告が本件許可処分をした事実は当事者間に争いがない。

二、そこでまず、本案前の主張について判断する。

農地法第四条の許可は、単に農地法上の一般的な農地の転用禁止を解除する行政処分にすぎないものと解されるから、右許可をうけた者は、これによつてその農地につき私法上の権利を取得することになるものではなく、又、その農地所有者の権利も、第三者が右許可をうけたことによつて何ら消長を来たすものでもなく、結局右許可は、その農地の私法上の権利関係とは何らの関係もない行政処分であるというべきである。

そうすると、訴外ソナは本件許可処分をうけても、私法上本件土地に対する権利を有しない限り、本件土地を転用目的に使用する私法上の権利を取得するものではなく、その意味では、本件土地の所有者であるという原告らは、本件許可処分によつてその所有権を侵害されるところはない筈である。もつとも本件許可処分がなされたことにより、訴外ソナが本件土地を転用目的に使用しようとする行動に出ることは予想されるし、その結果として事実上原告らの所有権が侵害されるおそれはあるけれども、このことは、本来訴外ソナが本件土地につき自らの所有権を主張することに起因するものであつて、本件許可処分は右侵害については一つの契機を与えるものにすぎない。従つて原告らが、本件許可処分に対して有する利害関係は単なる事実上の利害関係であつて法律上の利害関係ということはできない。

右のとおり、原告らは本件許可処分によつて、本件土地に対する権利を侵害され、その他法律上の不利益を課される訳ではないから、本件許可処分の取消を求めるにつき原告適格を有しない。

三、よつて原告らの本件訴は不適法であるから却下することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判官 胡田勲 永松昭次郎 渕上勤)

物件目録<省略>

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